ヨーロッパ白内障屈折矯正手術学会(ESCRS)参加
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10月7日から11日にかけて、ポルトガル、リスボンで行われたヨーロッパ白内障屈折矯正手術学会に参加してきました。今回この学会は白内障、屈折矯正手術だけでなく角膜関連の報告が多いのでほぼ毎年参加しています。私は角膜クロスリンキング関連のポスター発表をしました。最近の海外の学会はeポスターと言って、パソコン上で閲覧するポスターが多いのですが、今回私の発表は、その中から選抜されPoster villageという場所で口頭発表をすることになってしまいました。私は通常の角膜クロスリンキングと高速クロスリンキングの結果を日本人で比較した研究を報告しました。クロスリンキングは各国からいろいろな発表があり、非常に熱い分野であることが実感できました。私の発表では術後1年においては高速クロスリンキングは従来のクロスリンキングに比較して同等の進行予防効果を発揮し、かつ角膜混濁や傷の修復が早いという結果でした。従来法は1時間程度手術時間がかかるのに対して、高速法は20分程度で終了するので、患者さんにとっても負担が軽い方法と思われます。
現在円錐角膜に対するクロスリンキング治療は、欧州では高速法が主流になってきていますが、それに加えカスタムクロスリンキングという新しい治療が登場し、注目されています。これまでの角膜クロスリンキングは、角膜の8ミリの範囲に均一に紫外線を照射してどの部位も同じように角膜を変化させるというものでしたが、カスタムクロスリンキングでは、角膜形状を事前に取得し、そのデータに基づいて紫外線を照射することになります。すなわち、角膜の突出場所は角膜が弱い場所なので、その場所はより強い強度で紫外線を照射し、その他の部位の照射は低いエネルギーでという感じです。このように角膜の形状に合わせて治療が行われるので、利点は円錐角膜の進行を予防するだけでなく、角膜の形状を改善する効果が期待される点です。まだ非常に新しい治療で、欧州でも限られた施設でのみ行われているようですので、まとまった結果はまだ発表されませんでした。今後期待ができる治療の一つと思われます。
ポルトガルには初めて行きましたので、学会で忙しい日程でしたが、1日バスツアーでシントラやユーラシア大陸最西端のロカ岬に観光に行ってきました。最後にお腹をこわしてしまい、げっそりして帰国したのが残念でしたが、非常に有意義な学会でした。
最後に自分の発表風景の写真です。